伴野内科クリニック
 
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肝炎
 
  肝炎とは、肝臓に炎症が起こった状態で、日本人の肝炎の約80%が、肝炎ウイルスが原因といわれています。その他に肝炎を起こす原因として薬剤、アルコール、アレルギー等があります。 肝炎ウイルスの中でもC型肝炎ウイルス感染者は200万人程度存在すると推定され、先進国の中で日本は、肝炎ウイルス感染者が最も多い国です。また、肝癌死亡者数は年間4万人を超え、臓器別癌死亡数の第3位に位置し、急速に増加しています。 この肝癌患者の95%は肝炎ウイルス感染者から発生しています。 本人も気づいていない感染者も多く、ウイルス性肝炎は21世紀の国民病と言われています。東京都は平成19年10月1日から、C型肝炎の治療法の一つである「インターフェロン(*)治療」にかかる医療費の助成制度を開始しました。
肝炎の原因による分類
 
ウイルス性肝炎
  ウイルスが原因の肝臓の炎症性疾患のことをいいます。 現在わかっている肝炎ウイルスはA型、B型、C型、D型、E型、G型、TT型の種類があり、日本人に多いウイルス性肝炎はA型、B型、C型の3種類です。 肝炎ウイルス以外のEBウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルスも肝炎を起こすことがあります 。
 
A型肝炎
A型肝炎ウイルスによる肝炎です。 飲料水や生食などから感染し、糞便に汚染された器具、手指等から感染することもあります。集団発生することもあります。 東南アジアに旅行して感染する人もいます。冬から春にかけて多く発生します。
症状
ウイルスに感染してから2~6週間後に発病し、発熱、全身倦怠感、嘔気、おう吐、悪心、腹痛、食欲低下、関節痛、 頭痛などがあります。 一部に、腎不全を起こしたり、 まれに劇症肝炎となる場合もあります。 数か月で完治し、慢性化することが少なく、感染すると抗体ができて、二度かかることはほとんどありません。
治療・予防
特効薬はありません。症状をやわらげることが中心で、安静が第一です。 A型肝炎の流行地へ旅行する際には、あらかじめ医療機関でA型肝炎ワクチンの接種を行うことで、A型肝炎を予防することができます。短期用のワクチンもあります。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスによる肝炎です。血液を介し、最も多い感染経路は輸血、母子感染、性交などです。輸血による感染例は、輸血用血液の肝炎予防検査の精度が向上してから激減しています。
症状
ウイルスに感染してから1~6ヵ月後に発病します。 発熱、全身倦怠感、嘔気、おう吐、悪心、腹痛、食欲低下、関節痛、頭痛の症状が見られますが、ほとんど症状がないことも少なくありません。完治が極めて難しいとされてきましたが、近年は、成人で発病した人の予後は良好です。母子感染した子どもは慢性化し、肝硬変、肝ガンと進展することがあります。B型肝炎は劇症肝炎が起こることもあります。
治療・予防
特効薬はなく、インターフェロン(*)が中心的に使われますが、急性であるか、慢性であるか、症状などによって、治療方法が異なります
予防接種もあり予防が可能です。 B型肝炎ウイルスを持っている人の家族はワクチン接種を受けることが望まれます。 母子感染した子どもには、出生直後からワクチン療法が開始、発病防止効果を上げています。
C型肝炎
C型肝炎ウイルスによる肝炎です。感染力は弱く、最も多い感染経路は輸血や 血液製剤ですが、血液にちょっと触れただけでは感染しません。輸血用血液の抗体検査を開始してからは輸血後肝炎は激減しています。しかし、感染したことに気がついていない方も多く、厚生労働省では下記の方々に検査をするように呼びかけています。
注意を呼びかけている方々
症状
ウイルスに感染してから14日~6か月後に発病しますが、多くが無症状です。 軽い風邪のような症状があることもありますが、ほとんどが気がつかずに慢性化してしまうことが多いです。放っておくと、数十年して急速に悪化し、肝硬変や肝ガンに進展する例も少なくないです。
治療・予防
慢性の場合は、特効的な薬としてインターフェロン(*)があります。しかし、全例に有効でなく、インターフェロンで完治する人は約30%くらいです。 インターフェロン療法の適応がない人にはグリチルリチン製剤、小紫胡湯(漢方)、ウルソデスキシコール酸などが用いられます。
インターフェロン
インターフェロンは、肝細胞に直接働いて、ウイルスの増殖を防ぐと考えられており、2001年にC型肝炎治療に関して健康保険が適用されました。ウイルスの遺伝子型、量、発症からの期間などを適切に選択することによって、ウイルスの排除、あるいは肝炎の症状を軽くしたり、進行を遅らせることができます。風邪のような副作用がある場合があり、また全例に有効ではありませんが、インターフェロンが有効かどうかは、インターフェロン療法前に推測することができます。また、近年インターフェロンは安価に製造されるようになったり、インターフェロンが有効になる薬などが開発されたり、研究が進んでいます。
薬剤性肝炎
  原因が服用して薬による肝障害を薬剤性肝炎といいます。 薬の毒性が肝臓を傷つけるものが中毒性肝障害、 薬によってアレルギー反応が引き起こされ、過剰な免疫反応が肝臓を攻撃するものがアレルギー性肝障害です。
アルコール性肝炎
  毎日のように飲酒の習慣がある人が、何日間か集中して大量にお酒を飲むと起こる病気です。 腹痛と発熱をともなって急激に発症します。1日約160グラム以上のアルコールを5年以上飲み続けると、約80%の確率でアルコール性肝障害または肝硬変となるといわれています。
自己免疫性肝炎
  中年以上の年齢の女性に多く、免疫機構が何らかの原因で異常をきたし、肝障害を引き起こす病気です。 合併症として慢性関節リウマチ、慢性甲状腺炎などの病気があります。
早期に気がついて…改善することが大切
 
  急性肝炎
  肝臓の急性の炎症です。 ウイルスに感染してから数週間から数ヵ月後、数週間後に発症します。 また、薬剤性肝障害も急性の発症をします。 風邪のような症状 (全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、悪心、食欲不振、など) あり、 後に黄疸があらわれ、 白眼や皮膚が黄色になり痒くなってきます。 (症状が軽く、黄疸もあらわれない場合もあります。) 急性肝炎の治療法は入院して安静にしていることが基本です。 ほとんどの場合、数ヵ月で症状が治まります。
  劇症肝炎
  急性肝炎の特殊なもので1週間から10日で死に至る場合もあります。 急性肝炎の中で約1%の方が劇症肝炎になるといわれています。 ウイルス性肝炎や薬物による肝障害を原因として急激に広い範囲の肝細胞が破壊され、その結果、肝機能のほとんどが失われてしまいます。 全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、悪心、食欲不振の他に、強い黄疸など肝炎症状が顕著に見られたうえに、出血傾向、意識障害、ケイレン様運動、浮腫、腹水、腎不全の症状があり、入院治療が必要です。
  慢性肝炎
  急性肝炎が治りきらずに、肝細胞に6ヵ月以上継続する慢性の炎症が起こる肝炎です。自覚症状はないか、あるいは軽い倦怠感程度ですので、 検診などで血液検査を受けなければ、 発見が難しいことが多い病気です。 過去に急性肝炎を発症しても気がつかないで慢性化してしまう場合も多く、重症化すると、肝硬変に進んだり、肝癌の発症率も高くなります。