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最近、内視鏡でも血液検査でも異常が見つからないのに、胃や腸の不快な症状で悩まされている方が増えてきています。 これは、安倍元総理の病名として報道された機能性胃腸症(FD)かもしれません。
機能性胃腸症とは胃癌や胃潰瘍などのはっきりと目にみえる疾患がないのに、胃痛、胃もたれ、むかつき、腹部膨満感、食欲不振などの症状が続く病気です。胃腸の機能異常による機能的疾患は胃腸疾患の60%以上で、日本人の4人に1人がこの病気であるとも言われています。 「機能性胃腸症」という言葉は、1990年ごろからアメリカの消化器病学会で提唱されるようになりました。比較的新しいものです。以前は「神経性胃炎」「胃弱」「慢性胃炎」と分類されていたものも、かなり機能性胃腸症にあてはまるのではないかと言われています。この概念が定着したことで、治療法の研究も進んでいます。今まで神経性だから改善しないとあきらめていた方もかなりの改善ができるようになりました。 ただ、症状だけでは機能性胃腸症と診断できません。潰瘍や癌といった器質的疾患がないことを内視鏡や血液検査などで確認する必要があります。 |
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機能性胃腸症=機能性胃腸障害、機能性ディスペプシア、Functional Dyspepsia
「1年前から下記のような症状があり、3ヶ月以上しばしば再発する。その症状を説明する器質的疾患が認められず(検査で異常がない)、排便によってその症状が改善したり、排便の回数などと関連しない。」と定義されています。
○胃が痛い ○みぞおちが痛い ○食欲不振 ○嘔吐 ○吐き気
○胸やけ ○胃もたれ ○お腹がはる ○下痢 ○便秘 |
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採血、胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査、腹部超音波検査などによって癌や潰瘍などの疾患がないことを確認することが重要です。
治療は生活習慣の改善とお薬の両面から行います。
十分な睡眠、規則正しい生活、ストレスをためないことが基本です。食事は1日3回規則正しく、暴飲暴食をしないで、ゆっくり食べるようにしましょう。脂肪の多い食事、香辛料、甘味和菓子、たばこ、アルコールを控えます。薬物療法は、胃や腸の活動を正常にするお薬を使用します。精神的な要因が強い場合は軽い抗うつ薬や抗不安薬を使います。
この疾患と混同されやすいのが、腹痛や下痢などが表れる「過敏性腸症候群」や、胃酸の逆流で食道がただれる「逆流性食道炎」です。これらの解説はそれぞれのページをごらんください。 |
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